Planet Finance Japan - Our mission : Poverty alleviation 特定非営利活動法人プラネットファイナンスジャパン
Republic of India

日本との連帯の特別行事におけるジャック・アタリ講演(仮訳)

2011年3月23日 パリ商工会議所

今晩お集まりの皆様の中には日本というこの大国について私より深くご存じの方がきっといらっしゃいますが、私は次のような立場で皆様にお話をいたしたいと思います。まず日本にも拠点を置くプラネット・ファイナンスというNGOの会長として、そして現首相の菅直人氏、前任の鳩山由紀夫氏といった日本の政治指導者の友人として、さらに現在日本で起きていることを考える必要があるグローバル社会の観察者かつ参加者と言う立場からです。

まず、個人的な話から始めることをお許しください。この数週間、驚くべき「日本の冷静さ」を前にして私が以前から有している日本に対する賞賛はますます大きくなりました。
昨日はプラネット・ファイナンス・ジャパンの理事会が開かれました。プラネットファイナンス・ジャパンでは、3日前には何も起きなかったかのように政府機関であるJICAとの間で、パキスタンでの貧困層向け金融支援のプロジェクトを終了させました。さらに彼らは世界に対する支援のプロセスを加速しています。
危機のただ中にあっても日本はそれを越え、世界に援助を行えるというのは大きな驚きです。これは日本の偉大さを実によく現わしています。この例が如実に示すように、多くの皆様は日本と接触のある企業のなかでそれを感じ、いかなる状況下でも日本人の間に連帯、安定が存在することを見いだしています。

第2に、巨大な悲劇に日本の友人たちは遭遇いたしました。日本人は慎ましく、距離と神秘の文化を培い、生と死について敬う態度をとっています。日本の文明には対外的な表現も露出的な行為も存在しません。2万人という行方不明者の数、400キロに及ぶ海岸を襲った波、最低3000億ドル、GDPの5%と見積もられた被害の重さをよく考える必要があります。日本経済は2010年に引き続き今年もおそらくまたマイナス成長となるでしょう。

今の時点ではまだ評価できませんが、心理的な影響、自然の中や日本国土の様々な土地に放射性物質が蓄積されるという現実の影響があることを忘れてはなりません。まだ重大な問題にはなっていませんが、毎日そして長期に放射能の放出が続けば、被曝量は蓄積されます。最悪の事態が迫っていると考えるべきではありません。

我々は巨大な惨事に直面しています。日本国民が冷静であるとしても我々はそれを過小評価すべきではありません。そして事実、日本の友人たちはその力、その富、その貯蓄を持ってしても自分たちだけではこの挑戦に立ち向かえません。我々も一緒に挑戦に立ち向かうのが適当だと、私は少なくとも3つの理由から考えます。

第1は、われわれ日本人以外が日本を助けるのは我々自身の利益になります。日本は世界経済の主要な担い手であり、世界のGDPの7−8%を占めています。
日本が世界の脆弱な成長をつまずかせるようになってはいけません。日本は非常に重要な存在であり、世界の多くの生産のチェーンは日本の技術に依存し、問題が生じます。

第2に、これも我々の利益になることですが、為替レートに対する投機が円レートを引き上げ、複雑なメカニズムを通じて世界的な通貨金融の安定性を危険にさらすことは避けねばなりません。

第3の我々の利益とは、日本の友人が我々を見ているからです。我々がどのように行動するのか、一人一人が日本の人々を助けるのか、そうでないか、日本にいるフランス人がどう行動をするのかを、です。この点については定期的に接触している友人の在日フランス大使、フィリップ・フォー氏に私は敬意を表明いたします。彼は24時間体制で部下とともに東京で、現地のフランス人の難しい状況をコントロールしています。

最後に、人類全体にとって、現在日本で起きていることは基本的なことだとよく理解することが重要です。まずエネルギーについての論点をしっかり把握することが非常に大切です。現実化した危険、回避できなかった惨事は我々にエネルギー調達がどういうものか、様々な技術を利用することの意味について考えさせます。日本はすでに60年前に広島と長崎で原子力爆弾によって多大の犠牲を払っています。現在の惨事のなかで我々はこの原子力という問題について考えねばなりません。

しかしながら私としては原子力の利用そのものを問い直すべきではないと考えます。原子力は多くの観点で、特に地球環境という次元では他の多くのエネルギーよりはるかに優れたエネルギーです。
ただきわめて特有の注意が必要です。より正確にいうと、起こりそうもない事象が連鎖するということを考える必要があります。地震が原子力発電所の近辺で発生すること、これは予測されていました。そして福島発電所は地震には完全に耐えることができました。津波の予測もまたなされていました。それに対して、津波が原子炉にとって絶対的に必要な冷却システムを使用不能にするということは責任者の誰もが予測できませんでした。
我々の予測能力、とりわけ最悪の事態に供える能力を見直すべきです。この場合の最悪の事態とは原子力そのものではなく、今回の場合は海外の近くの発電所を襲った大津波という最悪の事態に対する保護策の欠如です。

我々はまた技術の利用についてもよく考える必要があります。例えば日本はロボット分野では世界で第1位です。しかし原子力発電所で人間の代わりに使えるロボットは一台も存在しません。なぜならば日本は他の国と同様に高度に洗練された技術を自動車工場など他の用途に用いてきたからです。しかし、今回の出来事ような非常に難しい環境下で発電所を冷却させるため人間が生命の危険を冒す、それに代わりとなる簡単なロボットは存在しません。我々は技術をよりよく利用する必要があります。我々は簡単な知識に戻るべきです。機械に何を要求しているかという基本について再考せねばなりません。

日本で起きている事をもとにして、我々を技術についてより深く考えるべきだと私は思います。技術を見直すのではなく、逆に簡単な知識にもっと立脚し、技術をよりよく利用することを学ぶ必要があります。

日本を援助するためにできることは次のようなことです。

1.日本の人々に日本を賞賛していることを伝え、それを繰り返すことが必要です。日本の友人たちに我々がついているということを示すべきです。

2.個人的にまた具体的にはできるだけ早く日本に行くことを考えています。

3.我々の日本における活動を発展させる必要があります。

プラネット・ファイナンスでは被災地域での中小企業創業を目的とした、国際的な資金源からなる投資基金の設立に向かって活動しています。日本は我々の資金が必要なわけではないでしょう。彼らは巨額の貯蓄を有しています。しかし小企業の支援に向けて、我々の連帯を示すことは意味のあることでしょう。

皆様に日本のために具体的に何ができるかを考えていただきたいと思います。
勿論寄附を通じた支援も可能です。此の甚大な惨事で数万の家族が家を失いました。

また、大規模な汚染除去を実施せねばならないでしょう。すでに大きな金融危機に陥っている国にとってさらなる多額の資金負担を課します。これは非常に巨額の資金です。新しい予算が多くの企業のために充てられ、大型のインフラストラ開発プロジェクトも始まるでしょう。日本は新しいエネルギー源、町や橋の再建が必要です。日本の復興に参加して我々の連帯を示さねばなりません。

我々も今回の災害の甚大さを認識しておく必要があります。我々は日本がこの惨事を乗り越えて我々の進歩を助けるような条件を作るべきです。また、我々すべてがこの惨事が自分のところに起きうることを考えるべきです。フランスではボルドーの近くの原子力発電所で起こった洪水の時に、大きな問題は起こらなかったものの、非常に重大な結果になるような事態があったことを知っています。我々は同じ判断の過ちをそこで犯しています。今回の津波のように、洪水が発電所の原子炉を水没させるということを予測できませんでした。避難や人々の行動についての日本の教訓から、我々は避難、人生、威厳について考えることができます。

私としてはフランス人が同じ状況に陥ったら、日本人のように模範的で、あれほどの尊厳を持って行動するかはわかりません。人類の課題というものの前衛に現在位置していることについて感謝を示すことが我々義務でもあります。

今回技術が失敗したから技術が悪いと結論づけることは役に立ちません。自然が今回は勝ちましたが、人間は自然に打ち勝つことができます。自然を敵とするのではなく、友とすれば、です。この観点にたつと、日本では伝統、文化、歴史が人間と自然の間の微妙な関係を形作っています。

我々は日本を助けるために日常においても最大限のことを行うべきです。私の属する世界では、伝統的に人前でこれみよがしになされる寄附は価値がないと言います。未来のために投資を始めることもまた必要です。お祭りや旅行を考えることも必要でしょう。我々の未来の財産をすべての人に与えるために、日本の人々とともに想像し、日本の人々とともに新しい共同のプロジェクトを創り出すことが必要です。

翻訳:プラネットファイナンスジャパン副理事長 久米五郎太